シリーズ <第128回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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スエヒロタケ  過去127回の本コーナーに、スエヒロタケは何度登場したか?
たぶん2〜3回だろうと思って調べたら、なんと写真サイズの小さいごく初期(2004年3月)の1回だけだった。
 極めて平凡な種類の1種なので、おそらく撮影行で本種に会わない日はほとんどないと思う。カサの表面は特に目立った特徴もなく、真っ白い毛むくじゃらか、わずかに紫系の色を帯びる程度だ。ところがその裏面の表情は一変して、二重構造になったヒダが名前の通り末広がりに伸びて、あでやかなシーンを見せてくれる。
 普段はあまり大きなカサにならないが、この日見付けたものは太い枝の下側を覆い尽くすように、勢いよく広がっていた。ヒダの長さが5センチ以上もあったので、本種としては最大クラスのサイズではないだろうか。   戻る
2014年 4月 6日(日)

大渕池公園(東)

奈良県奈良市

くさびら神社  もう3週間ほども異常乾燥の晴天が続いた。ただでさえきのこが少ない時期に、これではどこへ行ってもむなしく歩くだけでつまらない。いっそのこと「雨乞い」の祈願でも・・・と考えた時に、この神社のことを思い出した。
 久しぶりに湖畔のドライブでも楽しみながら、「願掛け」でもしてくるか・・・神仏を信じない男の「苦しい時の神頼み」だ。
 その昔、この境内に一夜にして生えたきのこが飢餓に苦しむ民衆を救ったことから、誰呼ぶともなくこの名が定着したとか。本郷次雄先生の地元でもあるからか、先生はこのきのこをヒラタケだろうと推測されたらしい。「一夜にして」は古伝特有の誇張だとして、民衆の飢餓を救うほどの群生を思い浮かべると、私にはハタケシメジの方がありそうに思えるのだが、どうだろう。  戻る
2014年 4月27日(日)

菌神社

滋賀県栗東市

カンムリタケ

高さ約2センチ
 今から18年ほど前のこと、赴任地の広島で厳島神社へ撮影に出かけた。幅の広い水路の底に、まるで黄色いシートを敷いたような本種の大群生を見付けた。降りられない場所ではなかったが、こんなにたくさん生えるなら今でなくても・・・と、やり過ごした。以来、毎年今頃になると、あちこちの水辺を探すのだが見当たらない。「きのこにこの次はない」を肝に銘じることになったエピソードの一つだ。
 リンクブログ「キノコと休日」のsekiさんは広島在住だが、彼によるとどうやら広島では、いたるところで本種が見られるらしい。関東では一度も見なかったし、関西でも決して多くない。偏りがあるようだ。
 小型ながらも個性的な表情があり、色も鮮やかで華がある。なかなかフォトジェニックなきのこだ。
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2014年 4月29日(火・祝)

高円山

奈良県奈良市

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